閉経後の骨粗鬆症の治療薬

閉経後の骨粗鬆症の治療薬

骨粗鬆症とは?

骨の量が少なくなったり、骨の中身が悪くなり、スカスカの状態に、そのため骨の強さが脆くなり骨折しやすくなった状態をいいます。骨粗鬆症により骨がもろくなると、つまずいて手や肘をついた、くしゃみをした、などのわずかな衝撃で骨折してしまうことがあります。
がんや脳卒中、心筋梗塞のように直接的に生命をおびやかす病気ではありませんが、骨粗しょう症による骨折から、介護が必要になってしまう人も少なくありません。
女性ホルモンが骨の代謝を調節しているために、閉経により女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると骨粗鬆症を発症しやすくします。これを閉経後骨粗鬆症といいます。60歳以上の女性の3割以上が閉経後骨粗鬆症に罹患しているとも推測されています。

骨粗鬆症の治療薬は?

活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、カルシトニン製剤、エストロゲン製剤などに加え、最近ではビスホスホネート製剤、選択的エストロゲン受容体モジュラーター(SERM)が使用されています。
エストロゲン減少による閉経後の骨粗鬆症には、エストロゲン補充療法が効果的ではありますが、一方でエストロゲンの投与による不正出血や乳房痛などを高頻度で生じ、長期使用によっては、潜在的な発がんリスクが増大するといった問題が指摘されています。
そこで近年、閉経後骨粗鬆症の治療薬として、SERMとよばれる薬剤が注目されています。

SERMとは?

閉経後に分泌が減少したエストロゲンによる骨代謝のバランスを調整し、骨量の低下を改善することで骨粗しょう症における骨折などの危険性を低下させる薬。SERMは、骨に対してはエストロゲンと同じ作用を有するものの、子宮や乳房に対してはアンタゴニストとして作用する事で、乳がんの発生を有意に低下させるなど、エストロゲン製剤のデメリットをカバーできる薬剤です。。
SERMは選択的エストロゲン受容体モジュレーター(Selective Estrogen Receptor Modulator)の頭文字をとったもので、「閉経後骨粗鬆症」の治療薬として処方される薬剤です。

作用機序

エストロゲンは破骨細胞に直接作用し、骨吸収を抑える働きがあります。
しかし、閉経によってエストロゲンの分泌が低下すると、本来エストロゲンによって抑えられていた破骨細胞の働きが活発になり、骨密度が低下し骨粗鬆症となってしまいます。
単純に閉経によるエストロゲンの分泌低下をエストリオールのようなエストロゲン製剤で補えばよいのですが、エストロゲン製剤は乳房や子宮にも作用することで乳がんや血栓症などの副作用が問題になります。
SERMは骨や脂質代謝ではエストロゲン様作用により骨折防止効果を示し、子宮や乳房では抗エストロゲン作用を示し乳がんの発症リスクを抑えます。このようにSERMは体に悪影響がでないように、アゴニスト、アンタゴニストと働きを変えるのが特徴です。
※難しい言葉ですが、アゴニスト、アンタゴニストとは・・
アゴニスト→受容体に結合することでその情報を細胞内部に伝達する物質のこと。薬では作動薬とも言う。
アンタゴニスト→アゴニストとは逆の働きをする(受容体に結合するものの細胞の内部には情報を伝達しない)物質のことを言う。薬で言えば阻害薬という。

使用する薬剤

ラロキシフェン(商品名:エビスタ)の有効性、安全性、忍容性の改善を目的として創薬されたのがバゼドキシフェン(商品名:ビビアント)とされています。ラロキシフェンはジェネリックもあります。
どちらも同じような作用ではあるが、骨折リスクが高い方でバゼドキシフェンはラロキシフェンより椎骨(背骨)以外の骨折予防効果が高いと言われています。

主な副作用や注意点

皮膚症状
発疹、痒みなどの症状があらわれる場合がある

乳房症状
乳房緊満、乳腺症などがあらわれる場合がある

循環器症状
ほてりなどがあらわれる場合がある

静脈血栓塞栓症
頻度は非常に稀である
下肢の疼痛・むくみ、突然の呼吸困難、息切れ、胸痛などの症状がみられる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する

肝機能障害
頻度は非常に稀である
倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸、吐き気、痒みなどがみられ症状が続く場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する

ゆかりレディースクリニック

ゆかりレディースクリニック

神戸・三ノ宮にあるゆかりレディースクリニック|婦人科・美容婦人科・避妊の相談・性感染症・人工中絶・婦人科検診・ピルについてなどさまざまなご要望にお応えします。JR三ノ宮から徒歩5分。
TEL 078-391-7887