性交痛をなんとかしたい!

性交痛をなんとかしたい!

性交痛とは

文字通り性行為の時に感じる痛みのことを性交痛と言います。女性が抱えている性行為に関する悩みの中で多いのが、実はこの性交痛です。挿入する時が痛い、挿入後に激しく動かされた時が痛い、などの痛みに悩んでいる女性はたくさんいます。しかし、パートナーに気を使ってしまい女性だけが痛みを我慢しているケースは少なくありません。

性交痛の原因と対処法

性交痛の原因は多岐にわたります。何が原因かによって対処法が変わってきます。若年者では子宮内膜症や処女膜強靭症といった病気、更年期以降では膣が乾燥する萎縮性膣炎が原因のことが多いです。また、心因性のものは年齢に関係なく起こります。原因の確認のためにまずは婦人科を受診しましょう。

婦人科系疾患が原因のもの

性行為をするたびに激痛がある、濡れるけれど痛い、腟の奥の方が痛い、下腹部が痛い……などという場合は、婦人科系疾患や子宮頚管の炎症が原因で性交痛が起こっている可能性があります。

  • 子宮内膜症子宮内膜が子宮以外の場所にできる病気です。
    子宮の内側をおおっている内膜、または、それに似た組織が、何らかの原因で本来あるべき子宮の内側以外の場所にできる病気です。詳しくは→ゆかりレディースクリニックHP
  • 子宮筋腫子宮の筋肉の一部に、硬いコブのような腫瘍ができる病気です。
    ほとんどは良性の腫瘍ですが、まれに肉腫などの悪性の変化を伴う場合があります。子宮筋腫は良性の腫瘍ですから、それ自体が生命を脅かすものではありません。詳しくは→ゆかりレディースクリニックHP
    対処法:子宮内膜症、子宮筋腫ともに医師の診断を元に低用量ピルや黄体ホルモン療法などを行います。
  • 子宮頸管炎子宮の下部にある子宮頸管が、病原菌に感染して炎症を起こす病気です。
    性交渉で感染することもありますが、多く見られるのは、膣炎から菌がのぼってきて炎症を起こすケースです。特に、子宮頸部びらんがあると、感染しやすくなりますので、注意が必要です。詳しくは→ゆかりレディースクリニックHP
    対処法:頸管炎の原因(性感染症や常在菌など)を調べ、治療を行います。
  • 萎縮性膣炎主に閉経後や加齢により女性ホルモンの分泌量が低下し、膣や外陰部、尿道が乾燥や萎縮した状態になり、雑菌が繁殖するために起こる炎症のことをいいます。慢性病のため、治療しないと治りませんが、ほとんどの人がその存在を知らず、症状を訴える女性は20%程度に留まります。詳しくは→ゆかりレディースクリニックHP
    対処法:

    • ホルモン補充療法(HRT):ホルモン補充療法(HRT)は、主にホルモン分泌が減少する50歳以上の方に最適な更年期障害の治療方法の一つです。
    • ウルトラヴェラ(HIFU):ウルトラヴェラは婦人科業界で初めてHIFUを使用した膣縮小器です。メスを使わず膣の中にハンドピースを挿入し、皮膚の内側へとHIFUエネルギーを照射します。これによって膣内のコラーゲンが活性化され、膣のタイトニングと弾力性の増加が見込まれます。
    • 膣萎縮症用注入剤の注入、潤滑剤の使用等

女性器の形によるもの

処女膜強靭処女膜強靭の人の場合は、処女膜が厚くて堅いので、膣口が狭く伸びにくい状態になっています。このため、何度経験しても強い痛みが起こり、性行為が困難になってしまいます。対処法:処女膜切開術で処女膜を切開して膣の入り口を広げることで挿入をスムーズにすることが可能です。しかし、「心因性のもの(次項)」を併発している場合も多く、手術後に膣ダイレーターを購入していただき、訓練していく必要がある方もいらっしゃいます。

心因性のもの

特に性行為の経験が少ない人に多いです。性行為に対しての恐怖心や緊張感から、腟内が十分に濡れていない状態で性行為をしてしまって摩擦による痛みを感じてしまうというものです。また、一度痛みを感じてしまったことから、「また次も痛いんじゃないか」という恐怖心が芽生えて、痛みが続いてしまうというケースもあります。また、恐怖心や緊張感から膣に力が入ってしまい、挿入すらできない状態(ワギニスムス:膣の外にある筋肉の1/3の部分に、繰り返しもしくは持続する痙攣が起きることでその部分が収縮し、 性交痛を感じたりペニスの挿入自体ができなくなってしまう状態)になる方もいらっしゃいます。対処法:潤滑剤、膣ダイレーター、筋弛緩薬や抗不安薬の処方

膣ダイレーターとは

コンドームなどヘルスケア製品を扱っているジェクス株式会社が日本性科学会に委託されて製造販売している医療器具です。

  • 骨盤領域の放射線療法や外科手術に由来する腟内瘢痕形成や腟狭窄の予防
  • ワギニスムスや性交痛に対する腟周囲筋のリラクセーション法の習得
  • 腟欠損症における皮膚伸展による腟腔の形成
    を目的として使われます。必要と判断される方には購入していただき、ご自宅などで以下の通りご対応ください。

※ワギニスムス(腟けいれん)の治療では、腟の狭窄予防や拡げることが目的ではなく、緊張をとって受け入れる練習に使用します。そのためセットで購入していただき、細いものから太いものへと段階を追って挿入練習をしていただきます。具体的な使用法については、個人差が大きいので相談しながら練習します。

膣ダイレーター使用方法
少なくとも15分程度はプライバシーが保てる時間帯と場所を選び、 以下の手順で挿入します。

  1. 腟ダイレーターに水溶性の潤滑ゼリーを十分ぬります。
  2. ベッドに横になり、腟ダイレーターをやさしくゆっくり腟に挿入します。腟がきつく感じられるときには無理に入れず、その場所で挿入をとめたまま、腟筋肉の緊張とリラックスをくりかえします。
  3. 腟の力が抜けたら、腟ダイレーターを奥にすべりこませます。腟ダイレーターを根元まで挿入するために、腟まわりの筋肉の緊張とリラックスを数回くりかえす必要があるかもしれません。排便するときのようにしゃがみこんで腟まわりの筋肉を外に押し出すような姿勢をとると、楽に挿入できることもあります。
  4. できるだけ奥に挿入したら、少なくとも10分間はそのままにしておきます。その間は本を読んだり、テレビをみたり、誰かと電話で話をしたりするのもいいでしょう。もし腟ダイレーターがすべり出てきたら、もっと奥に、そっと挿入してください。
  5. 腟ダイレーターを取り出したら、刺激の少ない石鹸と水で洗います。石鹸はよく洗い流してください。

日本性科学会より引用

 

ゆかりレディースクリニック

ゆかりレディースクリニック

神戸・三ノ宮にあるゆかりレディースクリニック|婦人科・美容婦人科・避妊の相談・性感染症・人工中絶・婦人科検診・ピルについてなどさまざまなご要望にお応えします。JR三ノ宮から徒歩5分。
TEL 078-391-7887