女性の喫煙のリスク

女性の喫煙のリスク

増えている女性の喫煙率

日本人男性の喫煙率は、年々減ってきています。
しかし、女性の喫煙率は、わずかながら増加の傾向にあります。
とくに妊娠・出産に関係する世代である20歳代が16.7%、30歳代が17.2%(2007年厚労省調べ)と高いのが心配です。

女性の喫煙にはこんなリスクがあります


女性はニコチンに対する抵抗性が弱く、依存した後に悪性新生物として肺がん以外にも多くの癌の発生率が上がると言われています。さらに女性ホルモンの分泌も抑えるため、生理不順、生理痛、不妊のリスクが上がる、早期閉経、骨粗鬆症にもなりなりやすいとも言われています。また、全身の血行不良を引き起こすため、肩こり、腰痛、冷え症などつらい症状の原因ともなります。1日に15本以上吸う女性は、4倍の確率で骨折を起こします。

喫煙によって、おりものの悪臭や細菌性膣炎の発症率も高くなります。これはタバコの煙に含まれているベンゾピレン化合物が、膣内の酸性度を保って細菌の繁殖を抑えている乳酸桿菌を破壊するためです。さらに子宮の入り口にあたる子宮頸部の分泌物からも、タバコに含まれるニトロサミンなどの発がん物質が確認できます。受動喫煙によっても、非喫煙女性の子宮頸がんの発生率が2,3倍にも増加します。

その他にも黒ずんだ、張り・艶のない肌、シミや小じわの多さが特徴の喫煙者の顔「スモーカーズ・フェイス」と言います。
タバコのニコチンの血管収縮作用により、血行悪くなるため、肌の乾燥が 進み、皮膚に細かいしわができます。
ニコチンはメラニン色素を増やす作用があり、さらにタバコの 成分はビタミンCを壊す酵素を増やすので、美白に効果のある ビタミンCが減少します。
それが肌の色が黒くなり、シミのできる 原因です。

妊娠・出産への影響は?

たばこは卵巣機能を低下させて女性ホルモンの分泌を抑制するため、元気な卵子が育たなくなってしまいます。
女性ホルモンは、卵巣で作られます。卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類があり、妊娠・出産ができるようにバランスが保たれています。

卵胞ホルモン

生理の終わり頃から排卵までに分泌されるホルモン。女性らしい体をつくる作用があり、子宮内膜を厚くして妊娠の準備を進めます。

黄体ホルモン

排卵後から次の生理までに分泌されるホルモン。受精卵が着床しやすいように整え、妊娠が継続できるように作用します。

たばこを吸っていると、これらの女性ホルモンの分泌が減少してしまい、生理や妊娠が正常に行えなくなってしまいます。さらに、血管が収縮してしまうために子宮や卵巣に十分な血液が送られなくなり、生殖機能に異常をきたしてしまいます。
また、たばこを吸わない女性と比べると、喫煙する女性の方が子宮外妊娠の可能性が高まることや、閉経する年齢が早くなることも分かっています。たばこは女性ホルモンの分泌を妨げて生殖機能を低下させ、妊娠力を低下させてしまうのです。たとえ妊娠ができたとしても、流産・早産を引き起こしやすくなってしまうのが、タバコのさらなる害です。

早産のリスクは吸わない妊婦さんに比べて、早産リスクが27%高いという研究報告があります。タバコの本数が増えるほど早産率が上がることもわかっており、1日に30本以上吸うヘビースモーカーだと、約3人に1人が早産になります。
一般的に、流産が起こる割合は、妊娠12週未満で13~14%、妊娠12週以降22週未満で1~2%と言われています。
妊娠中に喫煙を続けていると、一酸化炭素やニコチンなどの有害物質によって、胎児に十分な酸素と栄養が届かなくなったり、DNAの損傷や奇形が促されたりする恐れがあります。そのため、胎児の器官が正常に形成・発達せず、様々な先天異常につながります。たとえば、口唇口蓋裂や先天性心奇形、手足の欠損、腹壁の破裂などが起こるリスクが高まることがわかっています。
喫煙の頻度や本数が増えるほど、胎児発育不全の重症度が高くなります。一般的に、喫煙している妊婦さんから生まれた赤ちゃんの体重は、そうでない赤ちゃんよりも約200g軽く、ヘビースモーカーの場合は約450g軽くなります。

なお、妊婦さん自身がタバコを吸っていなくても、受動喫煙によっても、赤ちゃんの出生体重が35~90g軽くなることがわかっています
無事に赤ちゃんを出産できたとしても、妊娠中に喫煙していることで赤ちゃんに悪影響をもたらすことがあります。その一つが「乳幼児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome:SIDS)」です。これは、何の予兆も病気もないまま、赤ちゃんが突然死してしまう疾患で、日本では約6,000~7,000人に1人の割合で発症します。厚生労働省によると、妊娠中の喫煙は赤ちゃんの呼吸中枢に悪影響を及ぼし、乳幼児突然死症候群を引き起こすリスク要因となります。

そのほか、妊娠中に喫煙をしていると、生まれてくる子供が「ADHD(注意・欠陥多動性障害)」などの発達障害や、肥満、糖尿病などを発症する確率が高まるという報告もあります。

健康への影響は?

健康影響については、男性同様女性も肺がんなどのがん・循環器疾患・呼吸器疾患などの様々なリスクがあり、ひいては寿命の縮小に繋がります。また女性は受動喫煙にさらされることも多いですが、やはり肺がん・冠状動脈疾患のリスクが高まります。
「百害あって一利なし」、禁煙するのに遅いとかはありません。自分の身体のためはもちろん、周りの方や生まれてくる赤ちゃんのためにもぜひ禁煙に取り組みましょう。

※喫煙と健康について詳しく知りたい方は→e-ヘルスネット(厚生労働省HP)参照

ゆかりレディースクリニック

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