ピル
避妊以外の使い方があるって知ってた?ピルの使い方と効果について
- 2017.08.13
ピルって聞くと避妊薬ってイメージがあると思います。でも、実は避妊だけではなく、生理痛の軽減やがんの予防の効果があるため、それらの目的で使用することがあります。
もしピル=避妊薬と思っている方はぜひ、ピルの効能について知っていただきたいと思います。
なぜなら将来かかる可能性のある病気を、前もってピルを服用しておくことで防げる可能性があるからです。
今回はピルの使い方や効能についてお伝えしていきたいと思います。
ピルとは?
そもそもピルとはどのようなお薬なのでしょうか。
ピルは、エストロゲンとプロゲステノーゲン * と言われる2つのホルモンが含まれた錠剤になります。
■プロゲステノーゲンとは?
プロゲステロン(黄体ホルモン)及び、それと同じ作用を持った物質の総称です。
妊娠したときに分泌される1/20以下程度のホルモンが含まれています。
ピルを服用すると、排卵を抑制し、避妊の効果があります。100%避妊できるお薬ではないものの、正しく服用することでほぼ確実に避妊することが可能となります。
そのため、いろんなご事情もあると思いますが、望まない妊娠を避けることができます。
またピルを服用すれば避妊できますが、服用をやめると再度妊娠することが可能となりますので、一時的に避妊が必要な方も、ピルを服用することができます。
みなさんが知っているピルの使い方
ピルを服用したことがある方、またはピルに対して知識がある方はそうではないと思いますが、これまでピルを服用したことがない方はおそらくピルに対して、このようなイメージが強いのではないでしょうか。
ピルは避妊薬だ!!
もちろん間違いではありませんし、正しいと思います。ただ、それだけではないんですね。
冒頭でもお伝えしたように、ピルの使い方は避妊時だけではなく、がんの予防や生理痛の軽減を目的としても服用します。
先日、勉強会に参加しているときにある女性と話すことがあって、そのときにピルの話になりました。その方は、医師ではなく一般の方でしたが、ピルのイメージをこのように話されていました。
女性:
「こないだね、ちょっと生理痛がひどくて病院に行ったの。そしたらピルを勧められてびっくりしたんです!何で私がピル?って。」
「でも先生によく話を聞くと、ピルって避妊だけじゃなくって、その他の意味でも使ったりするんでしょ?43年生きてきて初めて知った!」
もしかすると、こういったイメージをもっている女性もまだまだ多いのではないでしょうか。
避妊薬として使用するピルの効果
避妊目的でピルを服用する場合、このような効果があります。
排卵のストップ
脳下垂体がOC(低用量ピル)に含まれる卵胞ホルモンと黄体ホルモンをキャッチすると、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌をおさえます。と言われてもちょっと難しいですよね。
シンプルにピルを服用することで、排卵が起こらなくなります。
精子の子宮内進入の抑止
プロゲストーゲンという物質の働きで、子宮頸管粘液の粘液性を変化させて、精子が子宮内に入りにくくします。
その結果受精することを阻止するような働きとなり、避妊ができるという効果がピルにはあります。
受精卵着床の抑止
子宮内膜を変化させて、万が一排卵が起きて受精したとしても、受精卵が着床しにくい状態を作り出します。
これらがみなさんが知っているピルの効果だと思います。
避妊以外のピルの使い方
女性の身体は、無駄な排卵をしてしまうことで疲労してしまい老化を早めてしまう可能性があります。
それだけではなく、排卵をするときに卵巣の皮膜を破り、細胞が傷ついてしまうため、それによってがんのリスクを高める可能性があります。
こういった身体の中で起こる自然な働きではありますが、このような体内の働きを止めることで、女性の身体としての老化を留め、以下でお伝えする効果を期待することができます。
月経関連の効果
- 月経痛の軽減
- 月経中の貧血の改善
- 月経不順の改善
- 子宮内膜症の予防や改善
月経に対してはこのような効果があります。
ホルモンバランスの改善による効果
- 月経前症候群(PMS)の軽減
- にきび・多毛などの改善
- 更年期症状の予防
■PMSとは?
月経前症候群(げっけいぜんしょうこうぐん、英: PMS; Premenstrual Syndrome)は、数か月にわたって月経の周期に伴って、月経の2週間ないし1週間位前からおこり、月経開始とともに消失する、一連の身体的、および精神的症状を示す症候群(いろいろな症状の集まり)である。
具体的に知りたい方は、生理痛がひどい原因とは?|月経困難症という病気の可能性があるをご覧ください。
ホルモンバランスの影響で起こる症状もピルで改善する効果があります。
排卵を抑えることによる効用
- 卵巣がんの予防
- 卵巣嚢腫の減少
- 子宮外妊娠の減少
先ほどもお伝えしましたが、女性は無駄に排卵をしてしまうことで身体は疲労してしまいます。ピルによってそれを抑えることでがんや卵巣の病気を未然に防ぐことができます。
長期服用による効用
- 乳房良性疾患の予防
- 骨盤内感染症の予防
- 子宮体がんの予防
- 大腸がんリスクの減少
- 慢性関節リウマチリスクの減少
私自身もピルを服用していますが、将来的な病気を予防するために服用しています。
当クリニックでも、女性のみなさんにはできるだけピルを服用していただき、上記でお伝えした病気などを未然に防いでいただきたいと思っています。
ピルの種類
ピル【pill】とは、本来錠剤という意味がありますが、日本では経口避妊薬という意味でピルが認識されています。
ですので、ここでお伝えするピルは、経口避妊薬のことについてお伝えしていきたいと思います。
1相性と3相性
ピルは女性の生理周期に合わせて、「21日飲んで7日休む」28日周期の服用が基本です。
服用中、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの配合量が一定の「1相性ピル」と、何段階かに分けて配合量が異なるものを服用する「3相性ピル」があります。
3相性ピルの場合は、ホルモンの配合量が異なるため、決められた順番通りに飲む必要があります。1相性ピルは飲み間違いを防止できる利点があり、3相性ピルは総ホルモン量が少なくてすみ、不正出血の発現率が少ないという特長があります。
21錠タイプと28錠タイプ
21錠入りピルは、1シート・21錠のピルを飲み終わったら7日間休んで、新しいシートを飲み始めます。
7日間の休薬期間に生理のような消退出血が起こり、この間に卵胞が発育するので、次のシートの飲み始めが遅れると妊娠する可能性があり、注意が必要です。
28錠入りピルは、28錠のうち最後の7錠は薬の成分が入っていないので、実際には休薬している状態となり、この期間に生理のような消退出血が起こります。
毎日飲み続けることで服用が習慣付けられるため、7日間の休薬期間の後の飲み忘れを防ぎます。
飲み忘れた場合の対処法
ピルは避妊効果を維持するために、 飲み忘れをしないことが重要です。1日1錠、決められた順番に、ほぼ決まった時間に飲むようにしましょう。万一、飲み忘れた場合は、以下のように対応してください。
24時間以内
気がついた時点で1錠飲みます。そして、その日の分も通常通り飲んでください。
24時間以上
そのシートの服用は中止して、次の生理が始まったら、新しいシートで再開してください。その日に出血があったら、その日から新しいシートで再開してください。
避妊効果が得られない可能性があるため、7日間はコンドームなど、他の避妊法を併用してください。
ホームページより引用:http://www.yukari-clinic.com/information/pill/prescription/
ピルの副作用について
お薬には効果がある一方で副作用もあります。
ピルについては、
- 吐き気
- 倦怠感
- 不正出血
- 頭痛
- 乳房の張りなど
といった症状が出る可能性があります。もしこのような症状が出て不安になる方は、一度ご相談いただければと思います。
ピルの処方の流れ
ピルは薬局などでは手に入らず、必ずクリニックなどで処方してももらう必要があります。
当クリニックでの購入を考えている方は、他のクリニックでピルの処方の経験があったとしてもご予約をいただいております。
お身体に特に問題のない方は、内診台にあがることも必要ありませんので、ご安心ください。
2回目の処方以降は、診察を受けなくても処方することが可能になります。
当クリニックで初めてピルをご希望される方へ
このような流れでご予約、診察、ピルのご購入となります。
- 診察のご予約
- 来院していただき、診察時にピルの服用方法などについてご説明
- 診察後、ピル処方お会計
ご予約については、こちらから可能です。
費用 | 初診料 1,080円 ピル1シート:3,000 ~ 4,000円 |
2回目以降のピルの処方を受けられる方へ
- 外来窓口に直接お越しください。※ご予約は不要となります。
- 低用量ピル(OC)購入シートに必要シート数を記入し、診察券と一緒にご提出ください。
費用 | ピル1シート: 3,000円 ~ 4,000円 ※診察料は必要ありません。 |
私がピルをおすすめする理由
これまでピルの使い方や効能についてお伝えしていきました。
私自身がピルをおすすめする理由は、避妊など一般的な使い方もありますが、やはり病気を未然に防ぐというところにあります。
最近では、小林麻央さんが亡くなられたことが記憶に新しいことですが、がんになる方が非常に増えています。
ご自身の身体を守るということが最も大事なことだと思う一方で、やはりみなさんの周りには大切なご家族やパートナーがいらっしゃると思います。
そういった方が悲しい想いをしないためにも、ご自身のお身体をご自身で守るということについて再度考えていただきたいと思います。
これはピルを服用する、しないに関わらず、私が声を大にしてお伝えしたいことのひとつでもありますし、みなさんの身体はみなさんのものだけではないということ。
検診なども含めて、ご自身の身体の健康と再度深く向き合ってみてはいかがでしょうか?
まとめ
今回お伝えしたピルの使い方や効能については、いかがでしたでしょうか。
意外とこういう効果もあるんだ、と思われた方も多いと思います。避妊薬としてだけではなく、生理痛の軽減やがんの予防などの効果もあるピル。
健康を維持するためには、基本的には運動・食事などが大切だと思いますが、そこにさらにプラスしてピルを服用していただくことで、女性特有の悩みを未然に防ぐことができると思います。
今回の内容が、みなさんにとって将来の健康のヒントになればうれしく思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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