HRT(ホルモン補充療法)について

HRT(ホルモン補充療法)について

HRT(ホルモン補充療法)とは

50歳ごろに迎える閉経を挟んだ前後約10年間(更年期)に起こる症状を「更年期障害」と呼びます。HRTはHormone Replacement Therapyの略で「ホルモン補充療法」のことを指し、低下した女性ホルモンを補うことによって更年期障害の症状を改善します。
以前は5年程度で終了と言われていました。しかし最近では定期的な検診を受けて医師との相談の上であればいつまでも継続は可能とされています。

HRTで改善が期待される症状

HRTを行うと更年期障害のホットフラッシュ、寝汗、性機能障害、不眠、膣乾燥感、記憶力低下、頻尿、精神症状、睡眠障害、関節痛、四肢痛の改善効果があります。

更年期障害以外にHRTによって効果のあるもの

(1)運動器系

骨は髪や肌と同じように新陳代謝を繰り返しており、古くなった骨を壊す細胞(破骨細胞)と新しい骨を作る細胞(骨芽細胞)のバランスの取れた働きによって骨量が安定し強さが保たれています。しかし、加齢に伴ってエストロゲンが低下すると破骨細胞への抑制が弱まる、すなわち破骨細胞の働きが盛んになり、骨芽細胞の働きが追い付かなくなるため骨粗鬆症を引き起こし、骨折のリスクが高くなります。HRTを行うことでエストロゲンが補充されるので破骨細胞の働きが抑えられ、骨密度の増加、骨折の予防になります。また、関節保護作用、運動機能改善作用および姿勢バランスの改善作用もあります。

(2)脂質代謝

HRTを行うと悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やし、血管のしなやかさを保ち、動脈硬化症を防ぎます。

(3)糖代謝

経口HRTは血糖とインスリンを低下させインスリン抵抗性を改善させるので糖尿病の新規発症を抑制します。

(4)循環器系

HRTによって動脈硬化を予防することが可能です。

(5)中枢神経系

HRTはアルツハイマー病発症のリスクを低下させる可能性があります。また、更年期の抑うつ気分または抑うつ症状を改善させます。

(6)皮膚

HRTによって皮膚のコラーゲン量が増加し、皮膚の厚みが増す、表層組織のきめ細やかさや皮膚結合組織の改善の効果があります。

(7)生殖器系

性器萎縮とそれに関連した性交痛に対しての効果があります。

(8)悪性腫瘍に対して

HRTは大腸癌・胃癌・食道癌(腺癌)のリスクを低下させることがわかっています。乳がんは若干リスクが増加しますが、もともと乳がんは女性が発症するがんの1位ですのでHRTをしていなくても乳がん自己検診・乳がん検診を定期的に受けると良いでしょう。子宮体癌は黄体ホルモン剤との併用で減少するとわかっています。

(9)歯科口腔系

HRTによって顎骨骨密度を増加させ、口腔乾燥感を改善させます。また、歯牙喪失を予防し、歯周疾患や他の口腔内症状を予防もしくは改善する可能性があります。

HRTの副作用

ホルモン補充療法を始めると、「不正性器出血」や「乳房の張りや痛み」、「胃のむかつきや吐き気」が現れることがあります。しかし、1か月から3か月程度で治まることがほとんどです。不正出血が続く場合は、薬の投与方法を変更したり、ほかの病気が隠れたりしていないか調べますのでご相談ください。


また、ごくまれに血栓症を引き起こすことがあります。そのため、特に使い始めの時期には慎重に様子を見ます。経皮吸収エストロゲン製剤を用いると血栓症リスクが増加しない可能性が示されてきているので最近は経皮吸収エストロゲンを用います。喫煙や肥満がある人は血栓症のリスクが高いため、エストロゲン製剤の投与には特に注意が必要です。乳がんや脳卒中、心筋梗塞にかかったことがある人は、ホルモン補充療法を受けることができません。ホルモン補充療法を受けられるかどうかは、担当の医師に確認してください。

ゆかりレディースクリニック

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