HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンのキャッチアップ接種

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンのキャッチアップ接種

当記事でご説明するHPVワクチンのキャッチアップ接種はある一定条件を満たす方が対象となっております。
対象者  :平成9年度生まれ~平成17年度生まれの9学年
接種期間 :3年間(令和4年4月~令和7年3月)
詳しくは厚生労働省のHP「HPVワクチンのキャッチアップ接種について」を参照

キャッチアップ

キャッチアップとは、「追いつくこと」「遅れを取り戻すこと」と訳されます。
ワクチンのキャッチアップ接種とは文字通りの意味で、「年齢ごとに定められた、または推奨される予防接種スケジュールを完遂できていない人が、後追いで追加接種を受けて必要な免疫を得ること」を示します。

今回のキャッチアップの経緯について

日本国内において、年間約1万人が新たに子宮頸がんと診断され、約3,000人が子宮頸がんで亡くなっており、患者数・死亡者数とも近年漸増傾向にあります。
この子宮頸がんの主な発症要因として発がん性HPVとくに、HPV16型、HPV18型は特に前がん病変や子宮頸がんへ進行する頻度が高く、スピードも速いと言われています。しかし、HPV16型、HPV18型の感染は、HPVワクチンによって防ぐことができます。
日本では2010年から中1~高1を対象に公費助成が開始され、2013年4月から予防接種法と基づき小学校6年生~高校1年生を対象とした定期接種となりました。
しかし、接種後に生じたとされる多様な症状への懸念から、同年6月に厚生労働省は積極的勧奨の差し控えを発表、そしてこの差し控えは2021年11月まで継続されたため、公費助成当時、接種対象であった1994~1999年度生まれの女子のHPVワクチンの接種率が70%程度に対して、2000年度以降生まれの女子では接種率が軽減し、2002年度以降生まれの女子では1%未満の接種率となってしまいました。
その結果2000年度以降に生まれた女子ではワクチン導入前の世代と同じ程度の子宮頚癌の罹患リスクに戻ってしまうことが推計されています。

ワクチンの安全性について

ワクチンの安全性については、日本産科婦人科学会では下記のように提示しています。

HPVワクチンは接種により、注射部位の一時的な痛み・腫れなどの局所症状は約8割の方に生じるとされています。
また、注射時の痛みや不安のために失神(迷走神経反射)を起こした事例が報告されていますが、これについては接種直後30分程度安静にすることで対応が可能です。
平成29年11月の厚生労働省専門部会で、慢性の痛みや運動機能の障害などHPVワクチン接種後に報告された「多様な症状」とHPVワクチンとの因果関係を示す根拠の報告はなく、これらは機能性身体症状と考えられる、との見解が発表されています。

また平成28年12月に厚生労働省研究班(祖父江班)の全国疫学調査の結果が報告され、HPVワクチン接種歴のない女子でも、HPVワクチン接種歴のある女子に報告されている症状と同様の「多様な症状」を呈する人が一定数(10万人あたり20.4人(12~18歳女子))存在し、これは「多様な症状」がHPVワクチン接種後に特有の症状ではないことが示されました。
さらに名古屋市のアンケート調査では、24種類の「多様な症状」の頻度がHPVワクチンを接種した女子と接種しなかった女子で有意な差がなかったことが示されました。HPVワクチン接種と24症状の因果関係は「証明されなかった」ということになります。
どんなワクチンであっても、ワクチンには有効性(ベネフィット)と副反応(リスク)の両方があり、ベネフィットがリスクをはるかに上回る場合に推奨されます。HPVワクチンが国際的に広く推奨されているのは、社会全体におけるベネフィットがリスクをはるかに上回るという科学的根拠に基づいているのです。

※参考文献(日本産科婦人科学会:子宮頸がんとHPVワクチンに関する最新の知識)

接種するかしないかを1人1人が選択することが重要です。

キャッチアップ接種に関して、詳しくはお電話にて相談してください
・ゆかりレディースクリニック「子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)のキャッチアップ接種に関して
・神戸市ホームページ「HPV(子宮頸がん予防)ワクチンのキャッチアップ接種について

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