妊孕性の検査について

妊孕性の検査について

妊孕性という「キーワード」をご存じでしょうか?

妊孕性とは、「妊娠するために必要な能力」のことを指します。

すなわち妊娠するために必要な臓器や機能とも言い換えれます。女性では子宮や卵巣、男性では精巣が挙げられ、妊娠するために必要な機能として、妊娠するための機能というと女性では排卵や月経など生理の周期に伴う現象、男性であれば性行為のための勃起や射精能力も妊孕性を構成する一部に含まれます。
よって妊孕性は女性だけでなく男性にとっても大事な問題ということがお分かりいただけると思います。

卵巣予備能について

妊孕性を構成する機能として、女性の卵巣予備能が挙げられます。
男性の場合、精子は睾丸で作られますが、何歳になっても新しいものが作られます。しかし女性の場合は、生まれた時に卵巣に200万個の原始卵胞が保存されているだけです。原始卵胞は自然消滅していくものが多く、生理が始まる頃には30万個くらいになります。そこから1ヶ月に約1,000個ずつ消滅していきます。35歳を過ぎると自然消滅するスピードが加速して、閉経すると0になります。ちなみに女性が一生の間で排卵する卵子は約400個くらいです。
卵巣予備能は、30歳またはさらに早くから低下し始めることがあり,40歳以降は急速に低下します。卵巣病変によっても予備能は低下します。

卵巣予備能を知るための検査・診断

●スクリーニング検査として特定のホルモン(卵胞刺激ホルモン(FSH)、エストラジオール(E2))の値を測定する検査
●抗ミュラー管ホルモン(AMH)値および胞状卵胞数(AFC)を調べる検査

下記に該当する女性は卵巣予備能低下に関する検査を検討します。
●35歳以上の女性
●卵巣の手術を受けたことのある女性
●複数の卵子を成熟させて放出を促す排卵誘発薬(ゴナドトロピンなど)への反応がよくなかった女性

FSH、エストラジオール(E2)値の目安(月経周期3日目)

月経周期の特定の時期に卵胞刺激ホルモン(FSH)と エストラジオール(E2)の血中濃度を測定することがあります。卵胞刺激ホルモン(FSH)の濃度上昇と、エストラジオール(E2)濃度の低下は、卵子の問題を示唆します。これらのホルモンを測定した後、ときにクロミフェン(排卵誘発薬)を投与し、再びホルモン濃度を測定します。ホルモン濃度が劇的に上昇すれば、卵子の問題が確定します。

しかし、卵子の問題を診断するのに最も信頼できるのは以下の検査です。

抗ミュラー管ホルモン(AMH)値、胞状卵胞数(AFC)

血液検査(抗ミュラー管ホルモン(AMH)値の検査)

冒頭でお伝えした「原始卵胞」は約190日で成熟していきます。

「発育卵胞」→「 前胞状卵胞 」→「 胞状卵胞 」→「 成熟卵胞」

抗ミュラー管ホルモン(AMH)値は「 前胞状卵胞 」からから分泌される物質でこの量を測定します。その測定した値が発育卵胞の数を反映します。ですので抗ミュラー管ホルモン(AMH)値から、残っている原始卵胞の数を予想することができるわけです。

抗ミュラー管ホルモン(AMH)値は正常値・基準値というものを設定する事ができません。それは、個人によって大きな差が出るからです。

ただ、年齢別にみていくと、年齢が上がっていくにつれてその値が減少していく傾向にあることはわかります。その統計を取ることによって、いわゆる平均値(年齢との相関関係)と言われる「統計値」は出すことはでき、つまり自分と同じ年齢層の人たちの数値と比較し、自分の卵巣予備能はどうか?を判断することが可能です。

抗ミュラー管ホルモン(AMH)の年齢別の平均値

年齢27歳
以下
28歳29歳30歳31歳32歳33歳34歳35歳36歳
AMH
(ng/ml)
4.694.274.144.023.853.543.323.142.622.50
年齢37歳38歳39歳40歳41歳42歳43歳44歳45歳46歳
以上
AMH
(ng/ml)
2.271.901.801.471.301.000.720.660.410.30

超音波検査(AFC個数の検査)

腟に挿入した超音波装置を用いて胞状卵胞数(AFC)を観察し、数を数えます。
先述の抗ミュラー管ホルモン(AMH)の測定値が低いことは、胞状卵胞数(AFC)の数が少ないことを示唆します。胞状卵胞数(AFC)の数が少ないと(超音波検査中に観察し、数を数えた結果)、体外受精での妊娠の可能性は低くなります。

もちろん加齢による減少ばかりが原因ではありません。
生活環境や生活習慣の中で妊孕性を低下させる因子として、年齢、性交回数、食事、体重異常、喫煙、運動、ダイエット、ストレスなどが考えられています。

喫煙により妊孕性が低下し抗ミュラー管ホルモン(AMH)値が低くなるとの報告もあるため禁煙が重要です。
また、女性因子不妊の約12%は体重異常(肥満や痩せすぎ)が原因と言われており、肥満女性では減量により妊娠率が向上します。
「規則正しい生活」「禁煙」「血行の良い生活(下半身を締め付けない)」「基礎代謝アップ(適度な運動、階段を上る習慣など)」「ストレスをためない」などの取り組みが非常に重要といえます。
食事に関しては、適切な栄養を摂取することで良好な受精卵が多かったなどの報告があり、妊娠に特に必要な栄養素であるたんぱく質、ビタミンA・B・D・E、鉄、亜鉛、カルシウム、コレステロールを積極的にとることが勧められています。
そのなかでもビタミンDは良い卵子を作り、また受精卵が子宮に着床させやすくする作用があることがわかっています。

検査を受けることも必要ですが、まずは自分自身でもできることを行っていくことも重要です。一度生活習慣や食事を見直してみてはいかがでしょうか?

ゆかりレディースクリニック

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