ピルについて正しく知ろう

ピルについて正しく知ろう

ピルとLEPの違いは?

一般の方はピルとLEPについてよく分からない方が多いと思います。その違いについて今回はご案内いたします。

低用量経口避妊薬(oral contraceptive;OC)とはエストロゲンと黄体ホルモンの合剤であり、一般的にはピルと呼ばれています。目的は「避妊」です。

ホルモンの種類や量は同じであるが、月経困難症や子宮内膜症などの疾患の治療を目的としたものを、低用量エストロゲン・プロゲステロン配合薬(LEP)といいます。LEPというのは日本だけの呼び方であって実は欧米諸国では全てOC(ピル)と呼んでいます。

日本では保険の制度があるので、月経困難症や子宮内膜症など病名がついているものは、治療目的としてLEPと呼んでいます。簡単に言えば保険がきくピルです。LEPは治療を目的としていますが避妊効果もあります。

OCとは経口避妊薬のことですが、いったいどんな種類があるのか?
当院ではファボワール、トリキュラー、マーベロン、ヤスミンがOC(経口避妊薬)と言います。
では、LEP(治療薬)はどの薬のことを指すかというと、ルナベルULD、LD、フリウェルLD、ヤーズ、ヤーズフレックス、ジェミーナ(当院では取り扱いなし)のことを指します。

他にもある違い「1相性、2相性、3相性」?

ピルは1相性、2相性、3相性と種類があります。(日本で売られているピルは2相性のものはありません)
では、1相性のピルは、商品名で言うとファボワール、マーベロン、ヤスミンです。21錠全てが同じホルモンの配合比で飲み間違いがなく、服用方法が簡単なのです。

3相性のピルは、商品名で言うとトリキュラーです。ホルモンの配合比を変えて生理的なホルモン分泌に近づけたもので、ホルモン容量を減少させ、自然な生理周期に近づけたものになっています。

どうして避妊ができるの?

OC、LEPを服用するとどうして避妊ができるのか?

①  毎日服用する事によって排卵を抑制できます。
②  子宮の入り口の頚管粘液が濃厚粘稠となり、精子の進入を妨げます。
③ 内膜が着床の準備をしていないので着床を抑制できます。

※但し、LEPは避妊効果もありますが、超低用量のため不確実なところはあります。

OC、LEPのメリットは、月経不順の改善、月経量の減少、月経前の深い症状であるPMSとその重症型のPMDDの改善、肌荒れの改善、多毛症がよくなる、月経痛の緩和、子宮内膜症の改善、などの効果があります。また、良性の乳房疾患や子宮体癌、卵巣癌、大腸癌のリスクを下げる効果もあることもわかっています。

ピルやLEPを飲んでいるとほかの薬が飲めないのか?というとそうではなく、風邪薬や頭痛薬、ビタミン系のサプリなどは併用しても問題はありません。精神安定剤などは併用できないこともあるので、必ず医師に確認するようにしましょう。

下痢や、嘔吐などでも薬の吸収が悪くなり避妊の効果が薄れる場合はあります。
ピルを飲んでいても性感染症は防げないのでコンドームの併用は必ず行うよう注意してください。

また、ピルの重大な副作用といえば血栓症(血の塊ができて血管が詰まってしまう病気)の発症リスクがあることです。その他軽い吐気、周期の途中に起こる軽度の出血(時に長期)、頭痛、倦怠感、乳房の張り等が起こる可能性はあります。

OCやLEPは全ての方が飲みたいと思ったときに服用できるわけではありません。
服用してはいけない方は

①  乳がん・子宮頚癌・子宮体癌及び疑いがある方。
②  血栓症の方、またはリスクが高い方。
③  35歳以上で喫煙者(15本以上)
④  前兆がある偏頭痛がある方

その他服用できない条件はありますが、OC、LEP希望の方は受診して医師に確認して下さい。

服用はいつまでするの?

そもそもピル、LEPはいつまで服用するか気になる方もいると思いますが、ピルやLEPは赤ちゃんがほしいと思うまで服用することをお勧めします。ピルやLEPを服用していると避妊効果もあるため服用中は妊娠できません。ピルやLEPの服用していることにより無駄な排卵を抑制しているので、子宮卵巣が休んでいる状態になるのです(偽妊娠療法とも言われています)。そのためピルや、LEPの服用を中止すると子宮卵巣が元気なままの状態になり個人差はありますが、ほとんどの方が、妊娠しやすい状態になります。避妊を希望している方は、飲むのをやめず、本当に赤ちゃんがほしいと思うまでは服用し続けましょう。

服用したり、やめたりを繰り返すことも血栓症のリスクを高めてしまいますので、できることなら妊娠を希望する直前までは服用しましょう。妊娠を希望しない場合は閉経か50歳まで服用できます。

ピルを飲むことによって太るとか言われていますが、ピルは太りません。水を溜め込みやすいことはありますが、その時には医師に相談し自分に合ったピルを探してみてください。
ピルによるマイナートラブルも数か月服用することにより改善されます。
症状がひどい場合も相談し、いろんな種類を試してみてもいいと思います。

ゆかりレディースクリニック

ゆかりレディースクリニック

神戸・三ノ宮にあるゆかりレディースクリニック|婦人科・美容婦人科・避妊の相談・性感染症・人工中絶・婦人科検診・ピルについてなどさまざまなご要望にお応えします。JR三ノ宮から徒歩5分。
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