性感染症
正しく理解し、きちんと予防「性感染症」
- 2020.11.09
性感染症とは?
性感染症とは性行為あるいは性行為の類似行為によって感染する疾患のことをいい、英語の “ Sexually Transmitted Diseases ”の頭文字をとってSTDと呼ばれてきました。しかし、最近では、症状がないにもかかわらず感染症を有しているSTDが多いことから、疾患(Disease)と呼ぶには不十分であるとして” Sexually Transmitted Infection ”(STI)という言葉が世界的に用いられつつあります。
代表的な性感染症であるクラミジアやHIV感染症などは、症状が乏しいことから発見が遅れ、気付いたときには重症化してしまうことがあります。
性行為あるいは類似行為の後、以下のような徴候を認めたらまずSTD/STIを疑ってください。
STD/STIの疑わしい徴候、症状
①性器の内部や周囲の腫れ、発疹やできもの
②肛門の上、内部や周囲の腫れ、発疹やできもの
③腟や尿道からのおりものの色や臭いの異常、量の増加
④排尿時の痛みや灼熱感
⑤排尿回数の増加
⑥腟、大陰唇、小陰唇、ペニス、陰嚢の痒み、痛み
⑦鼡径リンパ腺の腫張
⑧眼の感染
⑨口や鼻の周辺、表面、内部の腫脹、発疹やできもの
⑩まとまった抜け毛
⑪口腔性交(フェラチオ)後の頑固な喉の痛み
⑫体の発疹
⑬脇の下や乳房の痛み
⑭指や手の腫れ、発疹や痛み
⑮その他、異常を感じる症状がある場合
主な性感染症一覧
疾患名 | 潜伏期間 | 性行為の
形態 | 感染者の
接触器官 | 接触器官の
非感染者 | コンドームの
効果 |
梅毒 | 10~30日 | 腟性交
肛門性交 | 外陰部 | ペニス | △ |
淋菌感染症 | 2~7日 | 腟性交 | ペニス
腟 | 腟
ペニス | ○
○ |
フェラチオ | ペニス
咽頭 | 咽頭
ペニス | ○
○ | ||
クラミジア感染症 | 1~3週間 | 腟性交 | ペニス
腟 | 腟
ペニス | ○
○ |
フェラチオ | ペニス
咽頭 | 咽頭
ペニス | ○
○ | ||
性器ヘルペス | 2~10日 | クンニリングス
リミング キス | 外陰部
口唇
口唇 | 口唇
外陰部
口唇 | ×
×
× |
尖圭コンジローマ | 3~8ヶ月
平均28ヶ月 | 腟性交
肛門性交 | ペニス
肛門、直腸 ペニス | 外陰部
ペニス 肛門、直腸 | △
△ |
HIV | 1ヶ月~10年 | 腟性交
肛門性交 | ペニス
腟 肛門、直腸 ペニス | 腟
ペニス ペニス 肛門、直腸 | ○
○ ○ ○ |
性感染症の予防について・・・
感染症を予防するにあたり、どうやったら感染するのかを理解しておく必要があります。
感染症に罹患する三原則というのがあります。
- 感染源:感染源が存在しなければ感染することはありません。感染症がないもの同士なら性行為あるいは類似行為をしても感染は起こりません。感染源となるには、ある程度以上の感染源の数、強さが必要であり、それを満たさなければ感染源にはなりません。
- 感染経路:感染経路としては、血液や母子感染なども考えられますが、性行為が中心です。
- 感受性のある個体:感受性のある個体という表現はやや難解ですが、感染の可能性がある人であっても、感受性の違いにより、感染率に差が出ます。たった一度のセックスで感染する事もあれば、中には100人の人と行為がなされても感染しないこともあります。
STIに感染すると、組織が脆くなり、細菌の侵入が容易になります。
尖圭コンジローマの既往があるとHIV感染率は11.4倍に、梅毒やヘルペスでは2.5倍になるといわれています。もっと身近な例では、亀頭、包茎や腟、外陰部などに炎症があるとウイルスや細菌などの病原体が侵入しやすくなるのです。したがって性感染症以前に亀頭包皮炎や腟炎、外陰炎などにならないように努めることが、「個体の感受性」を低下させ、ひいては感染防止を可能にすることになるのです。ゴシゴシと強く洗うことはお勧めしてはいませんが、外陰部は常に観察し清潔を心がけることは日常生活の上で行いえる効果的な予防法といってよいでしょう。
感染症の予防といえばコンドームの使用ですが、「正しく使いこなすことができたら・・・」という条件を意識してください。
コンドームの使用方法と注意点
コンドームは冷えた、乾いた場所に保管しましょう。機械的に衝撃を受けたり、直射日光があたる場所は避けてください。
- コンドームを傷つけないように、注意深く袋を開けます。袋を破るのではなく、袋の中からコンドームを取り出すようにしてください。袋から取り出すときに、爪などでコンドームを引っかくことがないように注意が必要です。
- コンドームの滑りをよくするということで、動物性あるいは植物性の油、ローション、鉱油性のゼリーを使用してはいけません。コンドームが破損する原因となります。
- 性器を結合させる前にコンドームをきちんと装着し、セックスの最初から最後までコンドームを使い通すようにしてください。
- コンドームを装着する前に、コンドームを巻き戻してはいけません。装着前には必ず、コンドームの内側、外側のチェックをしてください。コンドームの内側と外側を間違えて装着すると、上下に巻き戻せないだけでなく、コンドームが破損する事があります。
- コンドームを装着する前には、精液だめを押さえて、空気を抜くようにします。精液だめを押さえたまま、ペニスの先端から根元まできちんとコンドームが装着できたことを確かめてください。
- 射精後は、ペニスが萎える前にコンドームをペニスから外します。
- 仮にペニスが萎えてしまったような場合には、ペニスとコンドームを押さえながら、コンドーム中の精液が膣内に漏出しないように注意しながら外します。
- 使用済みのコンドームは燃えるゴミとして捨てます。
- コンドームの使用に際して、ラッテクスアレルギーには注意が必要なので、ゴム手袋をはめたときや、ゴム風船を膨らましたときにかゆくなったり赤くなったりした経験がある方はポリウレタン整のコンドームの使用をおすすめします。
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