生理
胸のしこりの原因?!高プロラクチン血症という症状と治療について
- 2017.09.17
近年乳癌の話題が多くなり、最近では小林麻央さんが亡くなられたことが記憶に新しいことだと思います。
乳癌の発見時には、胸にしこりのような硬さを感じることもあり、胸にしこりを感じる方は、不安になってしまうかもしれません。
胸のしこりは必ずしも乳癌になったからできるものではなく、高プロラクチン血症という病気になることでも胸のしこりができることがあります。
今日はこの高プロラクチン血症という病気についてお伝えしていきたいと思います。
こちらの記事も参考にしていただければと思います。
■おりものが臭い原因とは?細菌性膣症の疑いとその症状について
■卵巣腫瘍とは?卵巣腫瘍によって起こる卵巣の痛みと治療について
高プロラクチン血症とは?
一般の方には、馴染みのない病名だと思いますが、この病気は、プロラクチンと言われるホルモンの血中濃度が高くなる病気です。
プロラクチンは主に母乳に関係するホルモンです。
■プロラクチンとは?
プロラクチン(英語: Prolactin)は、主に脳下垂体前葉のプロラクチン分泌細胞(lactotroph)から分泌されるホルモンである。
主なプロラクチンは199個のアミノ酸から成り、分子量は23kDa。下垂体のプロラクチン産生細胞の他、胎盤や子宮など末梢組織でも産生される。
成長ホルモンと構造が近く、同一の祖先遺伝子が重複し、機能が分化したと考えられている。ヒトの場合遺伝子は6番染色体に位置する。
プロラクチン:Wikipediaより引用
プロラクチンの作用によって乳腺が発育し乳汁が作られますが、母乳をあげている間は、母体のためにすぐ妊娠しないような体の状態になります。
この妊娠を妨げる働きをするのがプロラクチンというホルモンです。したがって、授乳期以外でプロラクチンが高いと妊娠しにくくなります。
血中のプロラクチン値は、正常月経周期の女性では15ng/ml以下であり、これ以上高くなってくると妊娠がしづらいということになります。
このホルモンは脳の下にくっついている下垂体というところから分泌されています。
高プロラクチン血症になることで出る症状
高プロラクチン血症になると、
- 生理不順(無月経・無排卵・稀発月経・不正出血)
- 乳汁分泌(乳首から汁が出ること)・胸の張り・胸のしこり感
- その他(骨粗しょう症 etc)
このような症状が出ると言われています。
冒頭でもお伝えしましたが、今は芸能人の方を中心に病気やがんに対する報道が敏感にされるようになっているためか、女性は胸のしこりや張りについては、もしかすると病気では?と不安になってしまうきっかけになってると思います。
胸のしこりは、高プロラクチン血症になっていれば症状として出ますので、これを覚えておくと、胸のしこり=乳癌というような考え方にはならないで済むと思います。
高プロラクチン血症の原因とは?
多くの症状や病気の原因は共通点がありますが、高プロラクチン血症の原因は以下のような原因が考えられます。
- なんらかの肉体的、精神的ストレスなど
- 薬剤性(ドグマチールなどの胃薬、精神安定薬など)
- 多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせい らんそうしょうこうぐん)
- 甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンの低下)
- 下垂体腺腫(脳腫瘍)⇒この場合、プロラクチンの値が100以上超えることが多い
このような原因が考えられます。
また、多嚢胞性卵巣症候群については以前もお伝えしていますので、こちらも参考にしていただければと思います。
■多嚢胞性卵巣症候群の疑いがわかる⁈|卵巣の年齢もわかるAMH検査について
高プロラクチン血症の治療について
高プロラクチン血症の治療法については、当院では以下のような方法があります。
積極的に妊娠を望まない場合
低容量ピル(OC)
低用量ピルを使用して乱れたホルモンのバランスを整えていきます。
生理不順や不正出血は多くの方が3ヶ月以内に改善していきます。そして継続して服用することにより妊娠しやすい身体にしていきます。
漢方薬
低用量ピルが服用できない方や低用量ピルと併用して使用することがあります。
妊活中、もしくは今後妊活のご予定がある場合
プロラクチンを下げる薬を内服します。そうすると、排卵しやすくなります。さらに排卵しやすくするために排卵誘発剤を併用することもあります。
ただ、当院ではこの排卵誘発剤などの治療は実施しておりません。
このように妊娠させるご予定があるかどうかによって、治療法が異なりますが、低用量ピルや漢方薬、お薬などを使用して高プロラクチン血症の治療を行っていきます。
このように治療をすることで気になっていた胸のしこりも改善され、高プロラクチン血症も改善に向かっていきます。
まとめ
今回は、高プロラクチン血症という病気についてお伝えしていきました。
身体の異変は、ご自身の気持ちを不安にさせますし、それが原因で何かの症状や病気になってしまうことも考えられます。
できるだけ心身ともに大きなストレスを抱えないようにすることは、健康的に過ごすためには非常に重要なことでもあります。
もし胸のしこりや張りが気になる方は、一度お近くのクリニックで検査を受けてみてはいかがでしょうか?
今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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