子宮・卵巣の病気
卵巣腫瘍とは?卵巣腫瘍によって起こる卵巣の痛みと治療について
- 2017.09.16
下腹部辺りが痛む。その原因のひとつに卵巣腫瘍があげられます。卵巣腫瘍が捻じれてしまう猛烈な痛みに襲われることもありますが、卵巣腫瘍があるからといって症状が必ず出るわけではありません。
下腹部に痛みが出てきて、さらに下腹部が以前よりも少し出はじめた方は、卵巣腫瘍の疑いがあるかもしれません。
今日はこの卵巣腫瘍についてお伝えしていきたいと思います。
こちらの記事も参考にしていただければと思います。
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卵巣腫瘍とは?
卵巣は親指大の楕円形の臓器で子宮の左右に1個ずつあります。
卵巣は細胞分裂の活発なところなので体の中で腫瘍のできやすい臓器です。原因により以下のように分類されます。
約90%は良性の卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)
- ホルモンのアンバランスで一時的に腫れている卵巣嚢胞(らんそうのうほう)
- 良性卵巣嚢腫
- 子宮内膜症による卵巣チョコレート嚢腫
- 卵巣に炎症をおこして膿がたまっている場合
腫瘍のサイズがある一定以上になると、手術をするのが一般的です。下腹痛などの症状がある場合はその限りではありません。
手術法としては卵巣摘出術や付属器摘出術が行われますが、生殖年齢にある場合は腫瘍のみを摘出して正常卵巣部分を残す術式を選択します。片方の卵巣を摘出しても妊娠は可能です。最近は腹腔鏡による手術も行われています。
日本婦人科腫瘍学会HPより引用:良性腫瘍
悪性卵巣腫瘍
卵巣悪性腫瘍の治療の基本は、手術で腫瘍を可能な限り摘出することにあります。手術後は抗がん剤を用いた化学療法を施行し、残存腫瘍や腫瘍細胞の完全消滅をはかります。術後の化学療法は、残存腫瘍径が小さい程効果があるとされています。
初回手術では、その所見から、進行期を確実にする必要があります。術式としては子宮摘出術、両側付属器摘出術、大網切除術、後腹膜リンパ節郭清術を基本とします。早期の腫瘍で、若年者や挙児希望のある症例には患側の付属器摘出術にとどめる場合もあります。
腫瘍がすでに進行しており、癒着などがひどくて摘出が困難な場合は、腫瘍の一部だけを摘出し、手術後の化学療法の効果を期待する方法もあります。化学療法を何回か施行した後に、二次的腫瘍摘出術を施行します。
卵巣悪性腫瘍は抗がん剤がよく効くがんのひとつとされており、極く早期のがんをのぞけば化学療法は必須です。化学療法は一般的に、2~3種類の抗がん剤を組み合わせて周期的に投与します。
患者さんの状態により使用薬剤、投与方法、投与量などを個々に決定するのが実際です。副作用は骨髄抑制による赤血球、白血球、血小板などの減少、腎機能低下、肝機能低下、脱毛、吐き気、下痢、関節痛、筋肉痛など多種多様ですが、症状に応じた補助的な治療で対処可能です。
日本婦人科腫瘍学会HPより引用:悪性腫瘍
副卵巣嚢腫
卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ、ovarian cyst)とは、卵巣に生ずる嚢胞状の病変の総称であり、腫瘍性のものを含め多種多様な疾患が包括される。
Wikipediaより引用;卵巣嚢腫
卵巣腫瘍の症状とは?
炎症をおこしている場合は痛みがあるため早期に気付くこともありますが、それ以外は腫瘍がかなり大きくなるまで発見の困難な病気です。
腫瘍が破裂したり、ねじれたりして(卵巣腫瘍の茎捻転)痛みがない限り、かなり大きくなるまで本人にも自覚症状がほとんどないことが多いです。
腫瘍が破裂したり、茎捻転を起こすと激しい下腹部通を生じるだけでなく、腹膜炎や付属器に壊死を起こしてしまうことがあるため緊急手術が必要になります。
卵巣は腹腔内に存在するため、内診で卵巣の大きさ、形、癒着の有無などを診察します。
次いで、経腟超音波検査で卵巣や子宮を描出し、その正確な大きさや内部の状態などを観察します。さらに、MRIやCTを併用して、子宮、膀胱、直腸などの他臓器との関係、腫瘍内部の性状、リンパ節の腫大の有無などを観察し、良性か悪性かを診断します。
腫瘍が存在することにより、血中に増加する物質を測定して診断の補助に用います。一般に、このような物質を腫瘍マーカーと呼びます。現在のところ、悪性腫瘍にだけ特異的に増加するマーカーはなく、各々の腫瘍マーカーの特徴を知った上でいくつかを組み合わせて診断に用います。
日本婦人科腫瘍学会HPより引用
卵巣腫瘍の診断方法について
- 問診
- 内診
- 超音波検査
- 血液検査 ⇒ 炎症反応、腫瘍マーカー(悪性の有無)
- MRI、CT(当院では実施できません。他院への紹介となります)
- 腹腔鏡検査
このような手順や方法で、診断を行っていきます。
卵巣腫瘍の治療方法について
腫瘍の大きさが直径6cm未満なら経過観察をします。
月経終了後に再度、超音波検査を実施し、そのときの状況に合わせて治療法を選択していきます。
直径6cm以上なら手術を行います。この手術は、卵巣腫瘍摘出術または付属器摘出術という手術を行います。たとえ良性でも卵巣腫瘍の破裂、茎捻転による急性腹症の可能性があるため、手術を行っていきます。
また、腫瘍内に充実性部分があれば精密検査のうえ手術適応となることが多いです。
卵巣腫瘍になる原因とは?
卵巣腫瘍になる原因は、ホルモンのアンバランスや子宮内膜症、感染症などが考えられ、時に原因不明の場合もあります。
卵巣腫瘍にになれば、食事のときに気をつけていただきたいことは以下のようなことになります。
食べたほうがよいもの
ホルモンバランスを整える食べ物として、
- 大豆
- 納豆
- 豆腐
- 味噌
- ザクロ
- ビタミンB、Eを多く含むもの。
このような食べ物がすすめられます。
避けたほうがよいもの
- 砂糖
- マーガリン
- ショートニング
- 炭水化物の過剰摂取
- 飽和脂肪酸の過剰摂取
他に気をつけることは?
- 卵巣腫瘍がある場合は激しいセックスは避けるように(腫瘍が破裂しやすくなるため)
- 性感染症の予防としてコンドームを使用する
- 腫瘍が消失しても定期検診として超音波エコー検査を受ける
まとめ
今回は、卵巣腫瘍についてお伝えしていきましたが、いかがでしたしょうか?
卵巣腫瘍の場合、良性か悪性化によって対応は異なってきますが、場合によっては手術が必要になります。
下腹部の痛みというのは、病気でなくても起こるためこのような症状が見えにくい。ですが、女性はさまざまな病気にもかかりやすいため、気になる方はすぐに検査を受けていただきたいと思います。
早いにこしたことはないと思います。今回の内容が少しでも参考になればうれしく思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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