おりもの
おりものが臭い原因とは?細菌性膣症の疑いとその症状について
- 2017.10.06
最近少しおりものが出るようになり、そのおりものが臭い。その原因は細菌性膣症かもしれません。
この病気は、性感染症とは違いますが、性行為と関連が深い病気です。
臭いが気になる、おりものの色が黄色、外陰部がかゆいなどの書状がある方は、ぜひ今回の内容を参考にしていただければと思います。
こちらの記事も参考にしていただければと思います。
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※こちらの記事は2017年9月7日に公開された記事を再編集しております。
おりものとは?
よく“おりもの”と言われますが、そもそもおりものとはどのようなものなのでしょうか。
おりものとは、女性の膣から性行為をしているとき以外に出てくる粘液や組織片などの総称です。
これらは一般的にはおりものと言われますが、こしけや帯下(たいげ)とも言われます。
おりものは内部の生殖器官で発生し、これらは分泌されます。
イメージ的には、おりものは何か女性に問題があったり、体内で問題があるときに出てくるイメージですよね。
実はそれだけではありません。このような役目があります。
細菌が増殖するのを防ぐ
最近の増殖を防ぐおりものは粘り気があり、最近が外部から入ってくるのを防ぎ、膣の中で最近が増えてしまうことも抑える働きがあります。
受精のサポートをする
もうひとつおりものの役割としては、受精のサポートするというものです。
特に排卵日付近になると、子宮頚管で分泌される頸管粘膜の量が増えます。すると精子が子宮内にスムーズに配しやすくなります。
このように一般的に認識されているおりものとは別に、役割があるということを知っていただければと思います。
細菌性膣症とは?
オリモノの善玉菌(乳酸菌)の働きが低下し膣内のアルカリ度が進み、有害な菌が増殖した状態を細菌性膣症といいます。
これは性感染症ではありませんが、性的活動と関連の深い病気です。
細菌性膣炎(さいきんせいちつえん、英語: Bacterial vaginosis)とは、膣の自浄作用の低下により、特定の病原微生物ではない細菌が誘引となる女性器の症状。
非特異性膣炎ともいい、また、膣炎の症状をさほど伴わないさらに奥への感染につながるものも含めて細菌性膣症とも呼ぶ。
細菌性膣症:Wikipediaより引用
この原因は、
- 疲労・過労・睡眠不足などのストレス
- ホルモンバランスの乱れ
- 食生活の乱れ(緑黄色野菜・ビタミンB不足など
- 腸内フローラの乱れ(腸内悪玉菌の増加)
- 月経
- 抗生物質の使用
- 妊娠
- ステロイドホルモンの使用
- 糖尿病
- 保湿・保温力のあるナイロン性の下着の着用
などが考えられます。
現代社会はストレス社会と言われ、人間関係や仕事でのストレスは非常に多いような気がします。
また仕事の内容も、椅子に座ってじっとしているような仕事が多いため、体内の循環が悪くなっています。
そうすると、身体の機能は低下しますし、本来の働きができなくなるはずです。
そうすると、出るものも出なくなりますし、便秘になり、体臭が臭くなったり、おりものが出るということにつながってしまう可能性があります。
細菌性膣症の症状とは?
オリモノに臭いがでたり、水っぽくなったり、黄色や黄緑色になってきます。
約50%の方は無症状です。外陰部にかゆみが出ることがあります。妊娠中の女性がかかると流産・早産の危険を高めることがあります。
また、発赤を伴うこともあります。
先日、膣から泡⁈トリコモナス膣炎になると強い異臭を放つおりものが出るの記事でもお伝えしましたが、おりものから強い臭いが出る病気はさまざま。
もしおりものから強い臭いが出たときは、まず検査することをおすすめします。
■トリコモナス膣炎について
女性が感染した場合
女性がトリコモナス膣炎に感染してしまった場合、泡状の臭いのきつい黄緑色の膿のようなおりものが増えてしまいます。
性交時に痛みが出てきたり、外陰部や膣がかゆくなってしまったりという症状が見られます。
これは、トリコモナスが膣内の環境を変えてしまうために起こり、元々身体に備わっている膣内を綺麗に保つ働きの自浄作用が損なわれ、さまざまな細菌が増加、増殖することで、先ほどお伝えした症状が現れてしまうことが多いようです。
もし膣から泡のようなおりものが出てきている方は、トリコモナス膣炎の疑いがあるので、覚えておいてくださいね。
男性が感染した場合
男性の場合、女性のように泡状のおりものが出て、激しい悪臭を放つということはなく、逆にほとんどの場合無症状です。
もし症状として現れるとしたら、排尿時に軽く痛みがあるぐらいです。ほとんどが無症状になるので、トリコモナス症になっているかどうかを判別するには、クリニックで検査をしてもらう必要があります。
潜伏期間が長い
女性は症状としておりものから悪臭が出るとお伝えしましたが、潜伏期は~6ヶ月以内とかなり幅があります。
ですので、感染してしても症状が出ない方が20~50%程度もいるんじゃないかと言われています。症状として表面化していなくても、感染の心配がある方は、やはり検査をしてはっきりすることが一番いいのかもしれません。
トリコモナス症になったからといって、男性の場合は強い臭いを伴うということはありません。
女性の場合、臭いが強い場合、トリコモナス膣症という病気が考えられます。
細菌性膣症の治療について
細菌性膣炎の場合、膣内をまず洗浄し、抗生物質と乳酸菌のお薬を服用したり、膣内に挿入したりします。
基本的には1~2回の通院で改善します。ほとんどの方は1回の治療で治すことができます。
初診時 洗浄・お薬の挿入
まず、膣内の洗浄をして汚いオリモノをできるだけ取り除きます。
次に抗菌剤の膣錠と膣内の善玉菌を増殖させる働きのある乳酸菌の膣錠を挿入します。
これは1週間かけてゆっくり膣内で溶けて3~4日間、ラムネを溶かしたような白いツブツブのオリモノが出てくるかもしれませんが、治療の影響なので心配はいりません。
抗生物質と乳酸菌の内服薬を1週間分処方します。これで約1週間後には自覚症状の9割は改善します。
初診から1週間後、もし生理中なら生理が終わってから
1回目と同じ治療をします。
※しかし他の膣炎も併発していたり、上記の生活習慣が改善されないと治療に時間がかかったり、再発を繰り返しやすくなるので以下のことに気をつけてください。
他に気をつけることは?
- 外陰部は石ケンを使用せず指で軽くこすりお湯で流す程度にします。粘膜に必要な脂分を洗い流すとかえって炎症をひどくするからです。
- 下着は通気性のよいコットン素材のものにしピッタリしたガードルやジーパンは避けましょう。
- 治療中のSEXは中止して下さい。精液はアルカリ性のため細菌性膣症を悪化させます。
- 風呂場、タオル、食器の共用で感染することはまずありませんのでご安心ください。
- 治療中の入浴(ただし診察当日は避けてください。)は差し支えありません。
1、についてはごしごし洗ってしまったり、合成石鹸を使って入念に洗ってしまっている方も多くいます。
女性器をそのように洗ってしまうと、自浄作用といって女性に元々備わっている清潔に保つ機能が低下してしまいます。
女性器にいる細菌も一緒に流れてしまうため、その細菌が減ってしまうことで女性は不衛生になってしまいます。
こういう理由からも、女性をゴシゴシ洗うことはおすすめできません。
■膣の洗い方について
まず石鹸についてですが、基本的にはオーガニックのものを使用する方がいいと思います。市販のものは値段も安いですし、さまざまなところで販売されているので、手にも入りやすく便利です。
ただ、合成石鹸はどうしても身体にはおすすめできない。やはりおすすめしたいのは身体にとってマイナス要素の少ない、オーガニックの石鹸やボディソープを使用していただくことが良いと思います。
先ほどお伝えしたデーデルライン桿菌は、膣内に存在しているため、デリケートゾーン周辺を石鹸で洗いすぎるとデーデルライン桿菌を洗い流しすぎてしまいます。
ただ、ビラビラと言われる小陰唇、その外側にある膨らみを持つ部分を大陰唇、クリトリスも包皮に覆われているため、これらの周辺は垢が溜まりやすく、このような汚れが原因で臭いが発生する可能性もあります。
このような臭いを防ぐためには、ある程度洗う必要がありますが、ゴシゴシ洗うということはしなくて構えません。ご自身の手で軽く洗う程度で、膣に関しては石鹸などは使わずにシャワーで洗うことで十分です。
膣内洗浄、ウォシュレット使用に関しては産婦人科医の間では見解が分かれています。
一般女性が生理の終わりかけに月一回程度、市販の使い捨て膣内洗浄器 セぺ、ペンギンという商品等を使用してもオリモノの臭い菌を防ぐことはあっても、感染を助長することはないと私は思っています。
逆に生理の終わりかけに膣内洗浄をすすめたいと思っています。しかも使い捨てのセペは割り高で最後までしっかり水が入っていかないので、十分余分な経血を洗い流すことができません。
これは今後の現場としての課題だと思いますが、膣内洗浄ができる何かが出てくれば、より清潔にデリケートゾーンなどを保つことができるはずです。
ただ、このようにお伝えしていますが、オーガニックでも基本デリケートゾーンは洗わないようにし、また痒みのある場合は、炎症を起こしている可能性があるため、火傷お時に冷やすように、入浴後に冷水で5秒冷やすようにしてください。
トリコモナス膣炎の治療法について
上記でお伝えしたトリコモナス膣炎の疑いがある場合、このような治療法になります。
■トリコモナス膣炎の治療法
トリコモナス膣炎と診断された場合、抗トリコモナス剤をお出しし、飲み薬ですがこれを7日間ほど服用していただきます。
また、同時に膣内に入れるお薬もあるため、こちらも使用していただきます。このようにお薬を飲んだり、投薬することでトリコモナス原虫が消失します。
そうすると、膣内の環境が整い、元々持つ膣内の自浄作用が回復し、起こっていた症状が改善されます。
ただ、お薬を服用しているときにお酒を飲んでしまうと、アルコール中毒の症状が出ることがあるため、治療中は原則としてお酒は禁止になります。
まとめ
今回は、細菌性膣炎についてお伝えしていきましたが、いかがでしたしょうか。
女性であれば臭いが伴うとやはり気になってしまうと思いますし、周囲にその臭いに気づかれていないかが心配になると思います。
もしおりものの臭いが気になったり、外陰部にかゆみや発疹が出た場合は、お近くのクリニックで一度検査を受けることをおすすめします。
今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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