子宮内避妊具ってご存じですか

子宮内避妊具ってご存じですか

今までにも様々な避妊方法についてご案内してまいりましたが、ピル、コンドームのほかに女性の子宮腔に装着する「子宮内避妊具」について、今回ご案内いたします。

子宮内避妊具とは?

子宮内避妊具はプラスチック、その他の材料で作られた小さな器具を子宮腔の中に入れて妊娠を防ぐものです。妊娠を防ぐ原理は、受精卵の着床阻害、精子の移送阻害、精子と卵子の受精阻害となります。経口避妊薬と違って毎日服用する事なく、子宮腔に一度挿入すると最高で5年間は避妊効果が持続します。

子宮内避妊具の歴史はについては、日本で承認されたのが1974年(昭和49年)。「大田リング」と「ユウセイリング」とよばれる2種類だけでした。
その後、銅が付加したものが、副作用が少なく避妊効果が高いとされ、1999年7月に日本で銅付加の子宮内避妊具が承認、2000年1月に使用されるようになりました。
現在日本で使用できる子宮内避妊具は「FD-1」、「ノバT380」、「ミレーナ52mg」の3種類です。

子宮内避妊具の種類

FD-1

子宮内に挿入することによって、子宮内膜に炎症反応を起こし着床を防ぐ方法です。最初はリング型をしていたため、避妊リングと呼ばれていましたが、現在では魚の骨のような形をしています。交換時期は最長5年です。

ノバT

T字型のIUDの軸棒に細い銅線を巻きつけ、銅イオンの作用によってより精子の運動性を抑制することで避妊効果を高めたものをノバといいます。交換時期は最長5年です。
※ノバTは銅が付加されており、金属製なのでCTではリングが写る以外問題ないと思われますが、MRIでは外さないといけないことがあります。

ミレーナ

黄体ホルモンが付加されているもの。黄体ホルモンの作用により高い避妊効果が期待できます。交換時期は5年です。
またミレーナには避妊以外にも作用があります。

・子宮内膜が厚くならないので、子宮内が着床に適した環境にならない。
・月経の量が減り、月経困難症は軽減・焼失する。
・過多月経の場合、貧血が改善される。
・子宮頸管粘液の粘度が強いと、精子が子宮内に入りにくくなる。
・子宮の運動性が妨げられ、卵子にまでたどり着けない。

ミレーナは避妊目的の場合、費用は自費になりますが、治療目的として挿入する場合は、保険適応の場合があります。保険が適応されるかは、医師の診断が必要です。

精子の授精を阻害

避妊効果は?

避妊効果は、80%~99%と高めではありますが100%ではありません。
コンドームと併用して100%に近い避妊効果が得られるので、必ずどちらも併用するようにしましょう。

子宮内避妊具のメリット・デメリット

避妊方法としては歴史が浅い「子宮内避妊具」ですが、そのメリットとデメリットを理解し、上手に活用するようにしてください。また使用にあたり使用禁忌に該当する方は装着することはできません。

メリット

・長期にわたり避妊が可能
・授乳中でも挿入可能
・経口避妊薬のように、毎日薬を服用する必要がない。
・経口避妊薬を服用できない方でも使用できる。

デメリット

・医療機関に通って挿入、除去の必要がある。
・挿入時に多少の痛みや出血の可能性がある。
・月経の変化、不定期な出血が続く場合がある。
・性感染症の予防はできない。
・出血が多い場合は自然脱落する可能性がある。

使用禁忌

・妊娠中または妊娠の疑いがあるとき。
・過多月経、その他の機能性出血を繰り返しているとき。
・子宮腔の変形をきたすような筋腫や悪性腫瘍がある場合。
・子宮発育不全や子宮奇形、著しい子宮位置異常、子宮の向きが異常である場合、経管無力症がある場合。
・卵巣や卵管などに腫瘍がある場合。
・卵巣、卵管や子宮内膜に炎症がある場合。急性または亜急性経管炎がある場合。
・骨盤内炎症性疾患あるいは骨盤内炎症性疾患治癒後2か月未満の時。
・過去3か月以内に感染性流産を経験しているとき。
・子宮外妊娠の既往がある。
・出血性要素があるとき。
・銅アレルギー及び銅代謝異常があるとき。
・産婦人科領域以外であっても重篤な疾患があるとき。

合併症について

装着することにより稀に合併症が発症することがあります。

・挿入後1年以内の平均排出率は通常5%未満である。
・約1/1000で子宮穿孔が起こる可能性がある。穿孔は挿入時に起こる。
・稀ではあるが、挿入時に細菌が子宮腔に入ることにより挿入1か月の間に卵管炎(骨盤内炎症性疾患)が起こる。
・子宮内避妊具は異所性妊娠の発生率ははるかに低いが、挿入中に妊娠をした場合は、異所性妊娠のリスクが高く、感染性流産のリスクもあるためすぐに受診が必要である。

ゆかりレディースクリニック

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