不正出血が起こる12の理由とは?具体的な原因と治療法について

不正出血が起こる12の理由とは?具体的な原因と治療法について

何気なくトイレに入り、用を足そうとしたときに下着に血の跡がある。生理でもないのになぜか出血している。こういう不正出血を経験する女性も多いと思いますが、なぜ不正出血が起こるのでしょうか。

その原因は、1つではなくときに不正出血と大きな病気が関連していることもあります。

だからこそ不正出血が見られた場合、早めの検査をしていただくことをおすすめします。

今回は、不正出血の原因や12の理由、そして治療法についてお伝えしていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

子宮内膜ポリープとは?自覚症状があまりないから知っておきたい原因と治療について

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不正出血が起こる12の理由

不正出血が起こる原因は箇所によって異なりますが、どのような場所で不正出血がみられるとどのような病気や症状と関連があるのでしょうか?

まず、こちらをご覧ください。

番号がふってありますが、これらの個所によって病気や症状が異なります。

これらのどこから出血しているのか、それを判断することはできませんが、こういった知識を得ていただくことで、検査をしたときにより理解しやすいと思います。

最終的にどこから出血しているのか、そこから考えられる病気などは医師が判断します。女性のみなさんにもぜひ知っていただきたいと思います。

卵巣機能不全による出血(機能性出血)

無排卵月経や黄体機能不全など、ホルモン分泌に関する部位の不調によって出血します。

卵巣機能不全とは?

卵巣からは、月経周期にかかわる2種類の女性ホルモンが分泌されます。この2種類の女性ホルモンというのが、

  • エストロゲン(卵胞ホルモン)
  • プロゲステロン(黄体ホルモン)

であり、これらが交互に分泌されることで、毎月女性の身体に起こる生理の周期が調整されています。

卵巣機能不全とは、卵巣の機能が何らかの理由で低下してしまうとこの2つの女性ホルモンのバランスが乱れてしまいます。この生理の周期の乱れや排卵障害が引き起こってしまっている状態を卵巣機能不全といいます。。卵巣機能不全は「卵巣機能低下症」とも呼ばれます。

粘膜下子宮筋腫

子宮の筋層から内腔に向かって突き出る筋腫。月経時の出血が多くなり、不正出血もよく見られます。ピルで出血をコントロールするか、手術で筋腫を取り除き治療します。

粘膜下子宮筋腫とは?

先ほどもお伝えしたエストロゲンの作用によって、子宮筋層の内側にある平滑筋から発生する良性腫瘍が子宮筋腫になります。

この子宮筋腫は婦人科領域でも最も多い腫瘍であり、30歳以上の女性の2割から3割に発生するという報告もあります。子宮筋腫は発生する部位によって筋層内筋腫・漿膜下筋腫・粘膜下筋腫の3種類に分類され、粘膜下筋腫は子宮内膜の粘膜の下に発生する筋腫のことです。

子宮内膜ポリープ

子宮の奥にできるポリープ。ほとんどが良性ですが、子宮体がんがポリープ状に発達することもあるので、悪性でないかどうか、検査をしておく必要があります。手術で取り除く方法と、ピルなどによる薬物療法で治療します。

子宮内膜ポリープとは?

子宮内膜ポリープとは、子宮の内腔を覆っている子宮内膜がキノコ状に発育したものです。ほとんどが良性のものですが、ごくまれに悪性のことがあります。大きさは、小さいもので1cm以下から、大きいものでは10cmを超える場合もあります。

詳しくは、子宮内膜ポリープとは?自覚症状があまりないから知っておきたい原因と治療についてを参考にしていただければと思います。

子宮内膜炎

子宮内膜に細菌が入り込むことによって起こる炎症。下腹部の痛みや腰痛、膿の混じったおりものが出て、発熱を伴うこともあります。

卵巣腫瘍

卵巣にできる腫瘍の総称。全世代に発生する可能性がありますが、原因は不明です。

子宮体がん

子宮体部の子宮内膜から発生するがん。多くの場合、不正出血や血性のおりものなどの症状が出ます。

子宮がんとは?

子宮がんは、子宮の内側を覆う上皮細胞から発生するがんで、女性性器がんの中で、最も多いものです。

子宮がんは、子宮の入り口付近の子宮頸部にできる「子宮頸がん」と、子宮の奥の体部粘膜にできる「子宮体がん」の2種類に分類されます。日本人の場合、今までは子宮頸がんが圧倒的に多く、子宮がんの約80%を占めていました。

しかし、最近では、欧米諸国に多い子宮体がんが日本でも次第に増えており、子宮がん全体の30~40%を占めるようになってきました。この2種類の子宮がんは、原因も療法も異なるため、別のがんとして扱います。

頸管ポリープ

子宮頸管の粘膜が増殖してできる良性の腫瘍。腔内に突き出ることもあり、わずかな刺激で出血します。放置しても大きな問題にはなりませんが、たびたび出血する場合は、切除してもらった方が安心です。

頸管ポリープとは?

子宮頸管の粘膜に良性の腫瘍ができて、それが子宮口から垂れ下がってくる病気です。2〜3mmの小さなものから、1cmほどのものまで大きさはさまざまです。

また、できる数も1個だけのものから数個できることもあります。ポリープが子宮口から膣にはみ出していることで、検診で見つかることが多いです。

頸管の炎症

子宮頸管に細菌が入り込むことによって起こる炎症です。

膣部びらん

子宮頸管が赤くただれた状態。病気ではありませんが、性交時に出血したり、感染が起こりやすくなり、炎症を起こすこともあります。

膣部びらんとは?

子宮の入口付近である「子宮膣部」が赤くただれたように見えたり、本当にただれている状態をいいます。ただれているように見えるものを「仮性びらん」、本当にただれている状態を「真性びらん」といいます。

子宮膣部びらんのうち、ほとんどは「仮性びらん」で、生理のある女性にはごく普通にみられる一種の生理的変化といえるもので、病気ではありません。ただ、びらん部分は細菌や刺激への抵抗力が弱いため、おりものが増えたり出血したりすることがあります。

子宮頸がん

子宮の入口付近から頸管に発生するがん。ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が大きな原因です。

膣炎

原因や種類はさまざまで、一般細菌による細菌性腟炎、トリコモナス原虫によって起こるトリコモナス膣炎や、カッテージチーズのようなおりものが増加するカンジダ膣炎、女性ホルモンの減少による萎縮性(老人性)膣炎などがあります。

膣がん

膣壁に発生するがんです。

このように大きく分けて12ヶ所からの不正出血が考えられ、それぞれの箇所で出血がみられた場合には、上記でお伝えしたような症状、病気と関係がある可能性が高いということになります。

 

不正出血の種類

不正出血には、大きく分けて3つの種類があります。

器質性出血

器質性出血とは、膣や子宮、卵巣などに何らかの病気があるためにおこる出血です。

代表的な病気に、

  • 子宮筋腫
  • 子宮内膜症
  • 膣炎
  • 子宮膣部びらん
  • 子宮頸管ポリープ
  • 子宮頸がん
  • 子宮体がん

などがあります。膣炎や子宮膣部びらん、子宮頸管ポリープなどがあると、性交時に出血することが多くなります。

機能性出血

機能性出血は病的な原因がなく、ホルモンバランスの乱れで起こる出血です。

ホルモンバランスが不安定な思春期や更年期に多くみられ、ダラダラと出血が続く無排卵月経や、生理前に少量の出血が続く黄体機能不全などがあります。

また、脳下垂体や卵巣など、ホルモンの分泌に関係している器官の働きが落ちているなどのトラブルが考えられます。

中間出血

生理と生理の間の排卵期に、卵胞ホルモンの分泌が一時的に低下するために起こる出血です。

この中間期出血自体は病気ではありませんが、気になるときは基礎体温をつけて出血の時期を確認しましょう。ちょうど排卵の頃にいつも出血するのであれば、ほぼ中間期出血ですので、心配はありません。

毎月出血する場合は、ピルで内膜を薄くすることで、改善をはかることができます。

その他の出血

  • 受精卵の着床(妊娠)によって起こる出血
  • 甲状腺ホルモン異常の病気などによる出血
  • 性交のあと膣の一部が傷ついたことによる出血など

 

不正出血の治療について

これまで不正出血が起こる箇所と病気との関係ついてお伝えしてきましたが、不正出血や病気をどのように治療すればいいのでしょうか。

上記でもお伝えしましたが、まず大切なことは不正出血が見られたら、どこからの出血なのか、何が原因で不正出血がみられるのかを明確にすることです。

その検査結果をもとのどのような治療を行うのかが見えてくるため、まず検査をすることが何よりも重要になります。

不正出血は、子宮がんなど大きな病気が隠れている可能性もあるため、十分に注意が必要です。不正出血があった場合は、必ず診察を受けるようにしてください。

検査は原因によってさまざま

不正出血の場合、疑われる病気によって、さまざまな検査があります。また、一度の検査で異常が見つからなくても、不正出血を繰り返す場合は、ごく初期の病気が潜んでいることもあります。

検査を繰り返したり、以前の状態と比較することで診断できることもあります。

そのためできるだけ同じクリニックで検査をして頂き、検査結果を比べられる環境にしておくことも大切です。

ご自身のかかりつけがある場合、そのクリニックで継続的に検査をしていただくことで、より明確な原因の発見や新たな病気の発見につながる可能性が高くなります。

 

まとめ

今回は、不正出血についてお伝えしていきましたが、不正出血の主な理由は12ほどあります。

どこで出血のしたのかによってそこから見える症状や病気が異なるため、まず重要なことはどこから出血しているのか、検査をしていただき原因を明確にすることです。

そこから治療方法も異なるため、今回はそれぞれお治療法については明記していませんが、検査から得られた結果をもとに信頼できる医師と相談しながら治療を進めていただきたいと思います。

今回の内容が少しでも参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ゆかりレディースクリニック

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